2026年度 兵庫医科大学 医学部 学校推薦型・総合型選抜 化学 全4問の解説
2026年度 兵庫医科大学 医学部 学校推薦型・総合型選抜の適性検査「化学」、
全4問の解説です。答えだけでなく、各設問の下に「なぜその判断になるのか」を
1ステップずつ言葉にしたものを、折りたたみで付けています。
まず自分で説明してみてから開いてください。
問題は大学が公表しているものを手元に用意してご覧ください。
問1 気相の化学平衡 — 濃度平衡定数と圧平衡定数
(1) 平衡時のモル濃度
N2O4 が NO2 に変化したときの物質量の変化は、
| N2O4 [mol] | 2NO2 [mol] | |
|---|---|---|
| 反応前 | 1.0 | 0 |
| 変化量 | −0.60 | +1.2 |
| 平衡時 | 0.40 | 1.2 |
したがって、平衡時のモル濃度 [mol/L] は
解離した分の 2 倍が NO2 になる問1(1) を 4 ステップで見る
- 判断反応した N2O4 = 1.0 × 0.60 = 0.60 mol解離した割合は、はじめにあった 1.0 mol に対する割合である。
- 計算平衡時 N2O4 = 1.0 − 0.60 = 0.40 molはじめの 1.0 mol から、解離した 0.60 mol を引く。
- 計算平衡時 NO2 = 0.60 × 2 = 1.2 mol係数比は 1 : 2 なので、減った分の 2 倍が生成量になる。減った 0.60 mol をそのまま生成量にすると、NO2 が半分になる。
- 計算[N2O4] = 0.4040、[NO2] = 1.240容器の体積は 40 L のまま変わらない。物質量を体積で割る。
(2) 濃度平衡定数
係数がそのまま指数になる。単位も答えに残る問1(2) を 2 ステップで見る
- 公式Kc = [NO2]2[N2O4]反応式の係数が、そのまま濃度の指数になる。
- 計算Kc = 9.0×10−2 mol/L反応の前後で気体の分子数が変わるので、単位が残る。mol/L まで書く。
(3) NO2 の分圧
平衡時の NO2 の物質量は 1.2 mol なので、混合気体の総物質量は 1.6 mol である。分圧はモル分率に比例するので、平衡時の NO2 の分圧 pNO2 [Pa] は
与えられた圧力は混合気体全体のもの。モル分率で分ける問1(3) を 3 ステップで見る
- 計算全物質量 = 0.40 + 1.2 = 1.6 mol分圧を出すにはモル分率が要る。(1) で求めた 0.40 mol と 1.2 mol を足して、分母になる全物質量を先に出す。
- 判断pNO2 = 1.0×105 × 1.21.6与えられた圧力は混合気体全体のもの。分圧はモル分率で分ける。Kc から換算する道は使えない。体積と全圧から温度は出せるが、そのために必要な気体定数が与えられていないためである。
- 計算pNO2 = 7.5×104 Pa0.75×105 のままにせず、7.5×104 の形に直す。
(4) 圧平衡定数
平衡時の N2O4 の分圧 pN2O4 [Pa] は
これらから、圧平衡定数 Kp [Pa] は
温度が与えられていないので、Kc からは換算できない問1(4) を 3 ステップで見る
- 計算pN2O4 = 1.0×105 × 0.401.6 = 2.5×104 PaKp にはもう一方の分圧も要る。全圧から NO2 の分圧を引いても同じ値になる。
- 公式Kp = (pNO2)2pN2O4Kc と同じ形の式に、濃度ではなく分圧を入れる。
- 計算(7.5×104)22.5×104 = 2.25×105(3) で求めた 7.5×104 Pa と、いま出した 2.5×104 Pa を入れる。有効数字 2 桁の指定があるので、答えは 2.3×105 Pa とする。3 桁のまま答えない。
問2 金属イオンの系統分離
(1) 沈殿 A・B・F
| A | B | F | |
|---|---|---|---|
| 化学式 | AgCl | CuS | ZnS |
| 色 | 白色 | 黒色 | 白色 |
同じ硫化水素でも、酸性と塩基性で沈殿する金属が変わる問2(1) を 4 ステップで見る
- 知識沈殿 A = AgCl(白色)塩化物が水に溶けにくいのは Ag+、Pb2+ など。はじめに入っている 7 つのうち、あてはまるのは Ag+ だけ。
- 知識沈殿 B = CuS(黒色)酸性のまま硫化水素を通して沈殿するのは、イオン化傾向の小さい金属。Zn2+ はこの段階では沈殿しない。
- 知識Zn2+ + 4NH3 → [Zn(NH3)4]2+F を決めるには、Zn2+ がどちらの枝へ進むかを追う必要がある。アンモニア水を過剰に加えると錯イオンになって溶けたままなので、沈殿側ではなくろ液側へ進む。
- 知識沈殿 F = ZnS(白色)F をつくる枝に残っているのは Na+、Ca2+、Zn2+ の 3 つ。硫化物をつくるのは Zn2+ だけである。2 回目の硫化水素は塩基性なので、今度は沈殿する。
覚えておきたい沈殿の色この問題の外でも使う知識
| 塩化物 (塩酸を加える) | AgCl 白色、PbCl2 白色(熱水には溶ける) |
|---|---|
| 硫化物 (酸性でも沈殿) | CuS 黒色、PbS 黒色、Ag2S 黒色、CdS 黄色 |
| 硫化物 (中性・塩基性でのみ沈殿) | ZnS 白色、FeS 黒色、NiS 黒色、MnS 淡桃色 |
| 水酸化物 | Fe(OH)3 赤褐色、Fe(OH)2 緑白色、 Cu(OH)2 青白色、Al(OH)3・Zn(OH)2・Mg(OH)2 白色 |
| クロム酸塩 | PbCrO4 黄色、BaCrO4 黄色、 Ag2CrO4 暗赤色 |
| 炭酸塩 | CaCO3 白色、BaCO3 白色 |
白色が多いので、色で見分けがつくのは黒色・黄色・赤褐色・青白色のほうである。 先に色のついたものを覚え、残りを白色と覚えるほうが早い。
硫化物は、酸性でも沈殿する組と、中性・塩基性でないと沈殿しない組に分かれる。 この問題で硫化水素が 2 回出てくるのは、この違いを使って分離しているため。
(2) 加熱と硝酸の役割
加熱:水溶液に溶けている硫化水素を取り除くため。
硝酸:硫化水素に還元されて生じた Fe2+ を、 Fe3+ に酸化して戻すため。
硫化水素は還元剤でもある。図にない変化が、2 つの操作の理由問2(2) を 3 ステップで見る
- 知識Fe3+ → Fe2+(硫化水素が還元)硫化水素は沈殿をつくる試薬であると同時に、還元剤でもある。この変化は図にも設問文にも書かれていないが、2 つの操作の理由になる。
- 判断加熱 → 溶けている硫化水素を追い出す硫化水素が残ったままでは、次に加える硝酸がそちらに使われてしまう。
- 判断硝酸 → Fe2+ を Fe3+ に酸化Fe2+ のままでは、このあとのアンモニア水で水酸化物として完全には沈殿しない。
加熱と硝酸が、それぞれ何をしているのかこの問題の外でも使う知識
加熱で出ていくのは、溶けている気体のほう
硫化水素は常温で気体(沸点 −60 °C)で、 弱酸なので少しは電離しているが、大部分は H2S 分子のまま 溶けている。気体が水に溶ける変化は発熱なので、 加熱すると溶解平衡が左(気体側)に偏り、溶液から出ていく。 金属イオンは水和したイオンとして溶けており、加熱しても揮発しない。 だから加熱で減るのは硫化水素のほうになる。
硝酸は酸化剤。相手から電子を奪う
硝酸の N の酸化数は +5 で、希硝酸では NO の +2 まで下がる。
NO3− + 4H+ + 3e− → NO + 2H2Oこの 3 個の電子を Fe2+ から奪うので、Fe の酸化数が +2 から +3 に上がる。 酸化数が勝手に変わるのではなく、電子を奪われた結果として上がる。
3Fe2+ + NO3− + 4H+ → 3Fe3+ + NO + 2H2O順序を入れかえると、何が起きるか
そもそも硫化水素を通した段階で、次の変化が起きている。 硫化水素は還元剤でもあり、S の酸化数が −2 から 0 に上がる。
2Fe3+ + H2S → 2Fe2+ + S + 2H+ここで加熱を飛ばして硝酸を加えると、硝酸は Fe2+ より先に、 溶けている硫化水素と反応してしまう。
3H2S + 2HNO3 → 3S + 2NO + 4H2O起きることは 2 つある。単体の硫黄が析出して溶液が白濁するので、 このあとの沈殿の色が見分けられなくなる。そして硝酸がこちらに使われるので、 Fe2+ が Fe3+ に戻らないまま残る。 Fe2+ のままアンモニア水を加えると、生じるのは Fe(OH)3 ではない。
Fe2+ + 2NH3 + 2H2O → Fe(OH)2 + 2NH4+Fe(OH)2 は緑白色で、Fe(OH)3 より水に溶けやすい。 沈殿が不完全になり、鉄が次の段階まで持ち越されて分離が崩れる。 加熱が先、硝酸が後、という順序はここから決まっている。
硫化水素を残したまま先へ進むと、もう一つ困ることがある
このあとアンモニア水で塩基性にすると、その段階で ZnS が沈殿してしまう。 Zn2+ は後で分離するイオンなので、ここで落ちると分離そのものが崩れる。 硫化水素は硝酸のためだけでなく、この先の操作のためにも 除いておく必要がある。
(3) ろ液 E の錯イオン
過剰の強塩基に溶けるのは、両性の水酸化物だけ問2(3) を 2 ステップで見る
- 知識アンモニア水で沈殿するのは Fe(OH)3 と Al(OH)3Na+、Ca2+ は水酸化物が沈殿しない。Zn2+ は錯イオンになって溶けている。
- 知識沈殿 D = Fe(OH)3、ろ液 E = [Al(OH)4]−両性水酸化物である Al(OH)3 だけが、過剰の強塩基に溶ける。
過剰の水酸化ナトリウムで溶けるものこの問題の外でも使う知識
アルミニウムは、加える量で結果が変わる
少量のとき:
Al3+ + 3OH− → Al(OH)3(白色の沈殿)過剰のとき:
Al(OH)3 + OH− → [Al(OH)4]−まとめると:
Al3+ + 4OH− → [Al(OH)4]−「水酸化ナトリウムを加えると溶ける」とだけ覚えると、少量のときに白色の沈殿が できることを落とす。溶けるのは過剰に加えたときで、いったん沈殿してから溶ける。
問題文に「過剰」と書かれているとは限らない。この問題の系統分離図も、 水酸化ナトリウム水溶液の欄には「過剰」の文字がない。手がかりは量の記載ではなく結果で、 ろ液 E に [Al(OH)4]− が出てきている以上、 実際には過剰量が加わっている。
過剰の水酸化ナトリウムで溶けるのは、両性金属の 4 つ
Al、Zn、Sn、Pb。頭文字で「ああ、すん、なり」と覚える。
Zn(OH)2 + 2OH− → [Zn(OH)4]2− Sn(OH)2 + 2OH− → [Sn(OH)4]2− Pb(OH)2 + 2OH− → [Pb(OH)4]2−いずれも白色の水酸化物としていったん沈殿し、過剰の分で溶ける。
なお Cr(OH)3 も過剰の水酸化ナトリウムに溶ける ([Cr(OH)4]−)。ただし高校で「両性金属」として 数えるのは上の 4 つなので、語呂には入れない。
過剰のアンモニア水で溶けるのは、別の組
Ag+、Cu2+、Zn2+、Ni2+。 [Ag(NH3)2]+、 [Cu(NH3)4]2+(深青色)、 [Zn(NH3)4]2+、 [Ni(NH3)6]2+ になる。
2 つの組に共通して入っているのは Zn だけ。この問題でアンモニア水を過剰に加えた 段階で、Zn2+ は溶けたまま残り Al3+ は沈殿したのは、 Al がこちらの組に入っていないためである。
族との関係。ただし一方向にしか使えない
| 溶かす試薬 | 中身 | 族で見ると |
|---|---|---|
| 過剰のアンモニア水 | Ag、Cu、Ni、Zn | すべて遷移元素 |
| 過剰の水酸化ナトリウム | Al、Zn、Sn、Pb | Zn 以外すべて典型元素 |
「遷移元素ならアンモニア側」は成り立たない。 Fe3+ は遷移元素だが、過剰のアンモニア水でも Fe(OH)3 のまま沈殿する (この問題の沈殿 D)。使えるのは逆だけである。
典型元素なら、アンモニア側ではない。 これで Al をアンモニア側と取り違える誤りは防げる。 Zn だけは遷移元素でありながら両性も示し、どちらの組にも入るので判定には使えない。
Ag は族からは決まらないが、下の語呂で銀を「ぎ」と取れば「あ」と混ざらない。
アンモニアに、ぎくっとするあに(=兄)
ぎ=銀(Ag)、く=Cu、 あ=亜鉛(Zn)、に=ニッケル(Ni)。
(4) ろ液 H の確認
ろ液を白金線につけ、ガスバーナーの外炎に入れる。 炎が黄色になればナトリウムイオンである。
Na+ は沈殿をつくらない。確認は炎色反応で行う問2(4) を 2 ステップで見る
- 知識沈殿 G = CaCO3、ろ液 H に Na+炭酸塩で Ca2+ を落とすと、溶けたまま残るのは Na+ だけ。
- 知識白金線 → 外炎 → 黄色Na+ は沈殿をつくらないので、沈殿反応では確認できない。炎色反応で確かめる。
炎に入れると色がつく金属この問題の外でも使う知識
リアカー無き K村 動力に馬力借るとするもくれない
| 元素の読み | 元素 | 色の読み | 色 |
|---|---|---|---|
| リ | Li | アカー | 赤色 |
| 無 | Na | き | 黄色 |
| K | K | 村 | 赤紫色 |
| 動 | Cu | 力 | 青緑色 |
| 馬 | Ba | 力 | 黄緑色 |
| 借 | Ca | ると | 橙赤色 |
| する | Sr | もくれない | 紅色 |
入試で色を問われるのは、ほぼこの 7 元素だけである。 Rb・Cs は炎色反応で発見された元素として化学史の話に出ることはあるが、 色そのものを答えさせる設問はまれなので、ここでは覚える対象に含めない。
Ba は Cu と同じ「緑系」(黄緑)なので、Cu の青緑と混同しないよう別に覚える。
示さないものもある
2 族でも Be と Mg は炎色反応を示さない。 Al や Zn も示さない。「金属なら色がつく」と考えると外す。
白金線を使うときの決まりごと
使う前に塩酸で洗い、炎に入れて色がつかなくなるまで空焼きする。 前の試料が残っていると、その色が出る。 観察に外炎を使うのは、内炎より温度が高く、炎自体の色が薄いためである。
問3 鉛と鉛蓄電池
(1)(2) 鉛の基本
| あ | い | う | え | お |
|---|---|---|---|---|
| 14 | 典型 | 黄色 | 酸化 | 還元 |
Pb は 14 族の典型元素。クロム酸鉛(II) は黄色問3(1)(2) を 3 ステップで見る
- 知識Pb は 14 族・典型元素Pb は炭素と同じ族。遷移元素は 3 〜 12 族なので、Pb は典型元素。
- 知識PbCrO4 は黄色語群にある色は白色・黄色・暗赤色の 3 つ。クロム酸鉛(II) は黄色。
- 知識放電時、負極は酸化・正極は還元負極は電子を放出する側。放出は酸化にあたる。
族番号が問われる金属の、縦の並びこの問題の外でも使う知識
族番号を問われるのは、ほとんどが典型金属と 12 族である。
| 族 | 縦の並び | 価電子数 | イオン |
|---|---|---|---|
| 1 | Li・Na・K・Rb・Cs | 1 | 1 価 |
| 2 | Be・Mg・Ca・Sr・Ba | 2 | 2 価 |
| 12 | Zn・Cd・Hg | 2 | 2 価 |
| 13 | B・Al・Ga・In | 3 | 3 価(B を除く) |
| 14 | C・Si・Ge・Sn・Pb | 4 | 2 価または 4 価 |
族番号は、イオンの価数から逆算できる
典型元素では、族番号の一の位が価電子数と一致する (1・2 族はそのまま、13〜17 族は族番号から 10 を引く)。 Al3+ を知っていれば 13 族、Ba2+ なら 2 族。 例外は 18 族(一の位は 8 だが、貴ガスの価電子数は 0)。 12 族(Zn・Cd・Hg)は一の位 2 = 価電子数 2 で、この逆算がそのまま使える。
Pb は 14 族で、C・Si・Ge・Sn と同じ縦の並びにある。 上の 2 つは非金属と半導体、下の 2 つが金属で、 同じ族でも上下で性質が変わる。 Sn と Pb がどちらも 2 価と 4 価をとるのは、この族の性質である。
第 4 周期の遷移元素は、横に 1 本で覚える
スコッ(Sc)チ(Ti)バ(V)クロ(Cr)マン(Mn)鉄(Fe) の子(Co)に(Ni)銅(Cu)と亜鉛(Zn)
11 族は Cu・Ag・Au で、メダルの色そのもの(銅・銀・金)。
12 族は Zn・Cd・Hg で、 「亜鉛(Zn)のカード(カドミウム Cd)を すぐ(すいぎん Hg)に」。
14 族は、飛んで覚える
苦(C)心(Si)ありげ(Ge)にすん(Sn)な(Pb)
1 族:
リッチな彼、ルビーせしめてフランスへ
リ=Li、な=Na、 彼=K、ルビ=Rb、 せ=Cs、フランス=Fr。 (2 族は語呂の流派が分かれるので、上の逆算で出す。)
(3) 各極で起こる反応
負極:Pb + SO42− ⇄ PbSO4 + 2e−
正極:PbO2 + 4H+ + SO42− + 2e− ⇄ PbSO4 + 2H2O
正極では、外れた酸素が H+ と結びついて水になる問3(3) を 2 ステップで見る
- 公式Pb + SO42− ⇄ PbSO4 + 2e−電解液の硫酸イオンが反応に加わる。両極とも生成物は PbSO4。
- 公式PbO2 + 4H+ + SO42− + 2e− ⇄ PbSO4 + 2H2OPb の酸化数は +4 から +2 へ。外れた酸素は H+ と結びついて水になる。左右の電荷と原子の数を必ず合わせる。
(4) 流れた電子の物質量
負極では Pb 1 mol について電子が 2 mol 流れ、 SO42−(式量 96)が結びつく分だけ質量が増える。 負極が 24 g 重くなったとき、結びついた硫酸イオンの物質量は
よって、流れた電子の物質量は 0.25 × 2 = 0.50 mol。
0.50 mol質量の増減は、電子 2 mol あたりに換算して結びつける問3(4) を 2 ステップで見る
- 判断電子 2 mol あたり、負極は 96 g 増える質量の増減を電子の物質量に橋渡しする量を、先に出しておく。96 は結びついた SO42− の式量そのもの。
- 計算24 ÷ 96 = 0.25 → 0.25 × 2 = 0.50 mol96 g は電子 2 mol に対応する量。2 倍を忘れると 0.25 mol になる。
(5) 正極の質量変化
正極は出発点が PbO2 なので、増える量が負極と違う問3(5) を 2 ステップで見る
- 計算電子 2 mol あたり、正極は 96 − 32 = 64 g 増える正極は PbO2 が出発点。SO42−(式量 96)が結びつく一方で、酸素原子 2 個分(16 × 2 = 32)が H+ と結びついて水として抜ける。酸素が気体として出ていくわけではない。
- 計算0.25 × 64 = 16 g(増加)掛ける 0.25 mol は、(4) で求めた反応した物質量をそのまま使う。正極も PbSO4 になるので、質量は減らずに増える。
問4 元素分析と、ベンゼン環をもつ異性体
(1) 元素分析
(ⅰ) C8H10O + 10O2 → 8CO2 + 5H2O
(ⅱ) ソーダ石灰は二酸化炭素だけでなく水も吸収する。 先に塩化カルシウム管で水を取り除いておかないと、 二酸化炭素の質量が正しく量れないため。
(ⅲ) 880 mg
ソーダ石灰管の増加は二酸化炭素だけ。水の分を足さない問4(1) を 7 ステップで見る
- 公式C8H10O + 10O2 → 8CO2 + 5H2OC と H を先に合わせ、最後に両辺の O の数から O2 の係数を決める。
- 知識塩化カルシウム管は水だけ、ソーダ石灰管は水と二酸化炭素の両方2 つの吸収剤の性質の違いが、通す順序を決めている。
- 計算C8H10O の分子量 = 12×8 + 1.0×10 + 16 = 122分子式が与えられているので、燃焼のデータから組成を求め直す必要はない。原子量に原子の数を掛けて足す。C が 12×8、H が 1.0×10、O が 16×1。
- 計算305 mg ÷ 122 = 2.5 mmol質量を分子量で割ると物質量になる。mg で割ったので、単位は mmol。
- 計算CO2 = 2.5 × 8 = 20 mmol反応式より、1 分子から二酸化炭素が 8 個できる。係数をそのまま使う。
- 計算CO2 の分子量 = 12 + 16×2 = 44質量に直すために、二酸化炭素のほうの分子量も出しておく。
- 判断20 mmol × 44 = 880 mgソーダ石灰管に届く前に、水は塩化カルシウム管で取り除かれている。水の分(225 mg)を足すと 1105 mg になり、合わなくなる。
(2) 置換基が 1 つの場合
ナトリウムで気体が出ないのは、OH をもたないから問4(2) を 3 ステップで見る
- 知識ナトリウムを加えて気体が出る ⇔ OH をもつ気体が発生しないという条件は、OH をもたない、つまりエーテルであることを指す。試薬の反応を、官能基があるかないかに置きかえる。
- 判断−C2H5O の候補を 4 つ並べる−CH2CH2OH、−CH(OH)CH3、−OCH2CH3、−CH2OCH3。消す前に全部書くと、数え落としが起きない。
- 判断残るのはエーテルの 2 つOH をもつ前の 2 つを消す。
(3) 置換基が 3 つの場合
いずれもベンゼン環に OH が 1 つ、CH3 が 2 つ。 OH の位置を 1 として、CH3 の位置は次の 6 通り。
10 通り書き出してから、重なる 4 通りを消して 6 通りにする問4(3) を 4 ステップで見る
- 知識塩化鉄(III) で呈色 ⇔ 環に直接ついた OH同じ OH でも、アルコールのものでは呈色しない。
- 判断置換基は OH・CH3・CH3 の 1 通りだけ環が C6H3 になるので、置換基 3 つの合計は C2H7O。OH を除いた残りは C2H6 で、これを 2 つに分ける方法は CH3 と CH3 しかない。
- 判断10 通りから重複を消して 6 通り
OH を 1 に固定し、CH3 を残り 5 か所から 2 か所選ぶと 10 通り。 環は回せるので、OH の位置はどこに置いても同じである。
OH を 1 の位置に固定する。破線で折り返すと 2 と 6、3 と 5 が重なる。 1 と 4 を通る破線で折り返すと、2 と 6、3 と 5 が入れかわる。 折り返して重なるものは、同じ物質である。
折り返しても自分自身になるのは 2 通り。 どちらも CH3 が破線をまたいで向かい合っている。
2 と 6 3 と 5 残りの 8 通りは、折り返すと相手に重なる。 同じ物質なので、2 つで 1 通りと数える。
=2 と 3 = 5 と 6 =2 と 4 = 4 と 6 =2 と 5 = 3 と 6 =3 と 4 = 4 と 5 自分自身になる 2 通りと、ペアになる 4 組で、2 + 4 = 6 通り。 残るのは 2 と 3/2 と 4/2 と 5/2 と 6/3 と 4/3 と 5 の 6 つで、 上の解答に並べた 6 個がこれである。
- 判断6 個の構造式を [例] の書き方で並べる問われているのは個数ではなく構造式。6 個すべてを書く。
まとめ:答案の書き方についての 2 つの注意点
記述の長さを分けていたのは、字数ではなく要素の数でした
今回の解答例で、記述の設問 4 つの長さを数えてみました。 どれも指示は同じ「簡潔に書け」ですが、短いもので 22 字、長いもので 73 字と、 3 倍以上ひらいていました。分けていたのは、答えに必要な要素の数です。 要素が 1 つの設問は 20 字台、3 つ必要な設問は 70 字ほどで、 1 要素あたりで見るとどれも 20 字前後に揃います。
書いた文を 1 つずつ消してみて、消しても理由が成立するなら、 その文は要素として数えられていない、という見分け方ができます。 あくまで 1 年分の一例です。
過程の欄の書き方には、解答例に手本がありました
解答例には、言葉を添えている設問と、式だけの設問がありました。 分かれ目は、その設問で新しく計算する中間の量があるかどうかです。 記号そのものは設問文で示されていることが多いので、分かれ目はそこではありません。
新しい記号を式に出すときは、「平衡時の二酸化窒素の分圧 p [Pa] は」のように、 何の量かという言葉と、記号と、単位をそろえて書いています。 読み手が記号を見た瞬間に、それが何かを分かるようにしてあります。
一方、前に求めた値をあてはめるだけの設問には、言葉が 1 つもありませんでした。 新しく説明することがないからです。
方針を選んだ理由は、どこにも書かれていません。 書かれているのは、その数字がどこから来たのかだけでした。
答案の形に迷ったら、大学が公表している解答例に合わせるのが無難だと言えます。
本記事はうかるレシピ編集部が作成した非公式の解説です。 最終的な答えは、大学が公表している解答例と一致することを全設問で確認済みです (小問単位で 18 項目。問4(1) は (ⅰ)(ⅱ)(ⅲ) を 3 つと数えています)。
