2026年度 兵庫医科大学 医学部 学校推薦型・総合型選抜の数学、全10問の解説です。答えだけでなく、各問の下に「なぜその一手を思いつくのか」を1ステップずつ言葉にしたものを、折りたたみで付けています。まず自分で説明してみてから開いてください。
問題文は掲載していません。大学が公表している問題を手元に用意してご覧ください。各問の解答は、その問題を見ながら読む前提で書いています。
問1 正弦定理と余弦定理で sin を求める
3sin A = 4sin B = 6sin C = k(k > 0)とおくと
正弦定理より、辺の比は正弦の比に等しいので
よって a = 4t, b = 3t, c = 2t(t > 0)とおける。余弦定理より
B は三角形の内角だから sin B > 0。したがって
135 = 9 × 15、256 = 162 だから
▶▼ ステップごとの考え方を見る(7ステップ)
- 変形3sin A = 4sin B = 6sin C = k3つの式が等しいので、まとめて k とおく。「A = B = C」という形を見たら、共通の値に名前を付けるのが定石。
- 差がつくポイント判断a : b : c = sin A : sin B : sin Csin の関係式を、正弦定理を使って辺の比に書きかえる。正弦定理は「辺の比 = 正弦の比」を保証している。角の情報しか与えられていないように見えても、辺の話に書きかえられると気づけるかどうか。ここが決まれば、あとは完全に作業になる。
- 計算a : b : c = 13 : 14 : 16 = 4 : 3 : 21/3 : 1/4 : 1/6 を整数の比に直す。分母の最小公倍数12を全部に掛けて 4 : 3 : 2。
- 変形a = 4t, b = 3t, c = 2t比が分かっただけでは長さは決まらないので、a = 4t, b = 3t, c = 2t と文字でおく。
- 差がつくポイント判断cos B = c2 + a2 − b22casin B を直接求める公式がないことに気づき、先に cos B を出せばよい、と逆算する。辺の長さから角を求める公式は余弦定理で、それが与えてくれるのは cos。ゴール(sin)から必要なもの(cos)をたどる一手。
- 計算cos B = 1116余弦定理に代入して cos B = 11/16。t が全部約分で消えるので、比だけ分かれば十分だったと確認できる。
- 判断sin2B = 135256 → sin B = 3√1516cos から sin に戻すとき、符号を決める根拠を書く。B は三角形の内角なので 0° < B < 180°、この範囲では sin は必ず正。だから正の平方根を選ぶ。
問2 検査で陽性だった人が、本当に病気である確率
「病気にかかっている」という事象を A、「検査結果が陽性である」という事象を E とすると
陽性と出るのは「病気で陽性」と「病気でないのに陽性」の2通りで、これらは排反だから
求める確率は
▶▼ ステップごとの考え方を見る(7ステップ)
- 差がつくポイント判断PA(E) = 0.99, PA(E) = 0.01「検査の正確さ99%」という1つの文が、2つの条件を同時に決めていると読み取る。「病気の人が受けたら99%陽性」と「病気でない人が受けたら99%陰性」は別々の情報である。ここを1つと読むと、以降がすべて崩れる。
- 差がつくポイント判断求めるのは PE(A)(与えられたのは PA(E))聞かれているのは「陽性だった人のうち病気の人の割合」で、与えられているのは「病気の人のうち陽性になる割合」。条件と結論が入れ替わっていると気づく。ここがこの問題の正体。
- 知識PE(A) = P(A ∩ E)P(E)条件付き確率の定義を書く。「Eという条件のもとでAが起こる確率」は、PE(A) =(AとEが両方起こる確率)÷(Eが起こる確率)。あとは分子と分母を別々に作るだけ。
- 判断P(E) = P(A ∩ E) + P(A ∩ E)分母を作るために、陽性と出る人を2種類に分ける。病気で陽性(真陽性)と、病気でないのに陽性(偽陽性)。この2つで陽性の人を全部カバーでき、重なりもない。
- 計算P(A ∩ E) = 0.00495, P(A ∩ E) = 0.00995それぞれの人数の割合を掛け算で出す。真陽性は 0.005 × 0.99、偽陽性は 0.995 × 0.01。
- 計算PE(A) = 0.004950.0149 = 99298足して分母を作り、割り算して約分する。
- 判断≒ 0.332 → 約 33%答えが直感とかけ離れているので、意味を確かめる。偽陽性の人が真陽性の約2倍いるのがその理由。
問3 対数を指数に持つ式を簡単にする
t = log20256 とおくと、対数の定義より 2025t = 6。
ここで 2025 = 34 × 52 = (32 × 5)2 = 452 だから
(45t は正なので、正の平方根をとる。)求める式は 45t の逆数だから
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- 計算45 = 32 × 5, 2025 = 34 × 5245 と 2025 をそれぞれ素因数分解する。大きい数が出てきたら、まず素因数分解。ここに思いつきは要りません、手を動かすだけ。2025 ÷ 5 = 405、405 ÷ 5 = 81 = 34 なので 2025 = 34 × 52。45 = 32 × 5。
- 差がつくポイント判断2025 = (32 × 5)2 = 4522つの結果を並べて、指数がちょうど2倍になっていると気づく。45 = 32×5 に対して 2025 = 34×52。つまり 2025 = 452。
いきなり「2025 = 452」を思いつく必要はない。素因数分解という作業の結果として関係が見えてくる、という順番が大事。 - 知識t = log20256 ⟺ 2025t = 6log20256 を t とおいて、指数の形に書き直す。
ここは丸暗記ではない。log20256 という記号は2025を何乗したら6になるか、という指数そのものに付けた名前である。だから「t = log20256」と「2025t = 6」は、同じことを左右入れかえて書いただけ。新しい情報は何も増えていない。 - 変形452t = 62025 を 452 に書きかえて 452t = 6。指数の 2t は「45 を 2t 乗」なので、45t を2乗したもの。
- 判断45t = √6求めたいのは 45−t。マイナス乗は逆数なので、45t さえ分かればいい、と逆算する。45t を2乗すると6だから、45t = √6。
- 計算45−t = √66逆数をとって有理化する。1/√6 の分母と分子に √6 を掛けて √6/6。
問4 3次不等式の証明
(左辺)−(右辺)を f(x) とおく。
この f(x) が 0 以上であることを示せばよい。
解答1(増減表で示す・大学公表の方針)
f ′(x) = 0 となるのは x = 2/3, 4。x ≧ 0 での増減表は
| x | 0 | … | 23 | … | 4 | … |
|---|---|---|---|---|---|---|
| f ′(x) | 8 | + | 0 | − | 0 | + |
| f(x) | 16 | ↗ | 50027 | ↘ | 0 | ↗ |
最小値の候補は、左端の f(0) = 16 と、極小値の f(4) = 64 − 112 + 32 + 16 = 0 の2つ。小さい方は 0 なので、x ≧ 0 では f(x) ≧ 0。証明終わり(等号は x = 4 のとき)
解答2(因数分解で示す・こちらの方が短い)
f(−1) = −1 − 7 − 8 + 16 = 0 なので、f(x) は x + 1 で割り切れる。
x ≧ 0 のとき x + 1 > 0、また (x − 4)2 は2乗なので常に 0 以上。正の数と 0 以上の数の積だから f(x) ≧ 0。証明終わり
▶▼ ステップごとの考え方を見る(2つの解き方・各7ステップ)
解答1(増減表)のステップ
- 変形f(x) = x3 − 7x2 + 8x + 16 (x ≧ 0)(左辺)−(右辺)を f(x) とおいて、「f(x) ≧ 0 を示す」問題に言いかえる。不等式の証明は、まず差を作って0と比べる形にするのが基本。
- 公式f ′(x) = (3x − 2)(x − 4)微分して f ′(x) = (3x − 2)(x − 4) と因数分解する。
- 差がつくポイント判断増減表は x = 0 から書く増減表を、x = 0 から書き始める。問題の条件が x ≧ 0 だから。全部の実数で書いてしまうと、f(x) が負になる部分(例:f(−2) = −36)まで表に入ってきて、x ≧ 0 での最小値の判定と混ざる。
- 差がつくポイント判断最小値の候補は f(0) と f(4)最小値の候補が2つあると認識する。1つは極小値の f(4)、もう1つは区間の左端 f(0)。区間に端がある場合、端の値も最小値の候補になる。極小値だけを見ても、それが区間全体の最小値だとは確定しない。
- 計算f(0) = 16, f(4) = 0f(4) を計算すると、ちょうど 0 になる。ここが問題の仕掛け。
- 変形f(x) ≧ 0最小値が 0 なので f(x) ≧ 0 と結論する。
- 判断等号成立は x = 4等号が成り立つのは x = 4 のとき、と書いて完成。証明問題は等号条件まで書いて満点。
解答2(因数分解)のステップ
- 変形f(x) = x3 − 7x2 + 8x + 16差を作って f(x) とおくところは同じ。
- 差がつくポイント判断微分ではなく因数分解を試す微分に走る前に、因数分解できないか探してみる。3次式を見たら増減表、と反射的に決めてしまわない。因数分解が通れば、答案の長さが半分以下になる。
- 公式f(−1) = 0 → x + 1 で割り切れる因数定理を使って、f(●) = 0 になる ● を探す。候補は定数項16の約数(±1, ±2, ±4, ±8, ±16)。順に代入すると f(−1) = 0 が見つかる。
- 計算f(x) = (x + 1)(x2 − 8x + 16)x + 1 で割って (x + 1)(x2 − 8x + 16)。
- 差がつくポイント判断f(x) = (x + 1)(x − 4)2残った x2 − 8x + 16 が (x − 4)2 という2乗の形だと見抜く。2乗になっていれば、中身が何であろうと0以上が確定する。ここで問題が終わる。これは解答1の「極小値がちょうど 0」と同じ事実の裏表。グラフが x 軸に接しているから、その点で値が 0 になり、式の上では2乗の形で現れる。
- 判断x + 1 > 0, (x − 4)2 ≧ 0x ≧ 0 の条件のもとで、各因数の符号を確認して結論を書く。なお x ≧ 0 が効く場所は2つの解き方で違う。解答1では「左端 f(0) を最小値の候補に入れる」ために使い、解答2では「x + 1 > 0 を保証する」ためだけに使う。
- 判断等号成立は x = 4等号条件 x = 4 を明記する。
問5 和 Sn を含む関係式から一般項を求める
与えられた式を ① とする。
初項を出す。① で n = 1 とすると S1 = a1 だから
漸化式を作る。① の n を n + 1 に書きかえた式を ② とし、② から ① を引く。Sn+1 − Sn = an+1 なので
等比数列に直す。α = 5/2α + 3/2 を解くと α = −1。したがって
数列 {an + 1} は初項 a1 + 1 = 3、公比 5/2 の等比数列だから
▶▼ ステップごとの考え方を見る(9ステップ)
- 差がつくポイント判断5an+1 = 3Sn+1 + 3(n + 1) + 1式の中に an と Sn が混ざっているのを見て、どちらか片方に統一しないと進めない、と判断する。そのための手順が、n を n+1 にずらして辺々引くこと。Sn を含む式を見たらこれ、というトリガー。
- 差がつくポイント判断n = 1 を代入 → a1 = 2引き算をする前に、n = 1 を代入して初項を確定させておく。引き算で得られるのは「隣り合う項の関係」だけで、初項の値はそこからは絶対に出てこない。作業の順序そのものが問われている場面。
- 変形5an+1 − 5an = 3(Sn+1 − Sn) + 3n を n+1 に書きかえた式を作り、辺々引く。
- 知識Sn+1 − Sn = an+1Sn+1 − Sn = an+1 を使う。和の定義そのものです(n+1個の和から n個の和を引けば、残るのは n+1 番目の項)。
- 計算an+1 = 52an + 32整理して an+1 = (5/2)an + 3/2 という、隣り合う2項の関係式にする。
- 公式α = 52α + 32 → α = −1特性方程式 α = (5/2)α + 3/2 を解いて α = −1 を得る。これは、もし数列がずっと同じ値だったらその値は何か、を求めている式。
- 変形an+1 + 1 = 52(an + 1)両辺から α を引く形にして an+1 + 1 = (5/2)(an + 1) と書き直す。こうすると {an + 1} がただの等比数列になる。
- 計算an = 3(5/2)n−1 − 1初項3・公比5/2として一般項を書き、最後に 1 を引いて戻す。
- 判断n = 1, 2 を元の式に代入して検算n = 1, 2 を元の式に入れて検算する。引き算の操作は符号ミスが出やすいので、必ず確かめる。
問6 角の二等分線と中線が作る線分の比
※ 実際の問題に図はありません。位置関係を示すためのオリジナルの図です。
まず角の二等分線の性質から BD : DC = AB : AC = 3 : 2。E は CA の中点なので CE : EA = 1 : 1。
(1) AD, BE, CG の3本は点 F で1点に会う。チェバの定理より
既知の比 3/2 と 1 を代入して
(2) 三角形ADC を、直線 BFE が切っていると見てメネラウスの定理を使う。
BD : DC = 3 : 2 より DB : BC = 3 : 5(BC は BD と DC を合わせた長さ)。よって
▶▼ (1) のステップを見る(6ステップ)
(1) AG : GB を求める
- 差がつくポイント判断D → E → F → G の順に作図するこの問題は、まず図が描けるかどうかで決まる。D, E, F, G の4点は、前の点が決まらないと次が置けない鎖になっているので、問題文に書かれた順に1つずつ作っていくしかない。
- 三角形ABCを描く(AB の方が AC より長い、が唯一の条件)
- ∠A を二等分する線を引き、辺BCとの交点を D とする
- 辺CAの中点を E とする
- AD と BE を引き、その交点を F とする(← F は D と E が決まって初めて置ける)
- C と F を結んで延長し、辺ABとの交点を G とする(← G は F が決まって初めて置ける)
- 公式BD : DC = AB : AC = 3 : 2∠A の二等分線という条件を、比の情報に書きかえる。角の二等分線の性質から BD : DC = AB : AC = 3 : 2。
- 変形CE : EA = 1 : 1CA の中点という条件も比に直す。CE : EA = 1 : 1。
- 差がつくポイント判断AD, BE, CG は点 F で1点に会う図を見て、AD, BE, CG の3本が1点で交わっていると気づき、チェバの定理を持ち出す。問題文に「チェバ」とは一言も書いてありません。図が正しく描けていれば3本の共点は目に入りますが、描けていなければ気づきようがない。ステップ1と直結している。
- 公式AGGB × BDDC × CEEA = 1チェバの式を、頂点を一周する順序で正しく書く。順序を間違えると比が逆さまになります。
- 計算AG : GB = 2 : 3既知の2つの比を代入して (1) の答えを出す。
▶▼ (2) のステップを見る(4ステップ)
(2) AF : FD を求める
- 差がつくポイント判断(2) はメネラウスに切りかえる(2) では、求めるものが1本の線分AD上での比なので、チェバではなくメネラウスに切りかえる。チェバは3本が1点に集まるときの定理、メネラウスは1本の直線が三角形を切るときの定理。この使い分けができないと手が止まる。
- 差がつくポイント判断△ADC を直線 BFE で切るメネラウスはどの三角形をどの直線で切るかの選び方が全て。F を通ること、すでに分かっている比だけが出てくること——この2つから逆算すると、三角形ADC を直線BFEで切る、という組み合わせにたどり着く。
- 変形DB : BC = 3 : 5BD : DC = 3 : 2 から DB : BC = 3 : 5 を作る。分母が DC から BC(全体)に変わることに注意。
- 判断AF : FD = 5 : 3代入して (2) の答えを出したら、図と見比べて確かめる。AF : FD = 5 : 3 は AF の方が長いので、F は AD の中点より D 側にあるはず。図と合っていれば、比を逆さまに書いていないと確認できる。
問7 x と 1/x の対称式
まず2乗を作る。x と 1/x の積が1であることがポイント。
(1) 同じ操作をもう一度くり返す。
(2) 6 = 3 × 2 なので、先に3乗を作ってから2乗する。
▶▼ (1) のステップを見る(4ステップ)
(1) x⁴ + 1/x⁴ を a で表す
- 判断x + 1x = ax + 1/x = a という形を見て、x と 1/x についての対称式が与えられた、と読む。
- 差がつくポイント判断x × 1/x = 1 → 2乗の中央項が定数 2x と 1/x を掛けると 1 になることに気づく。だから (x + 1/x)2 = x2 + 2·x·(1/x) + 1/x2 の真ん中が、ちょうど定数 2 になる。この一点がすべての土台で、積が1でなければこの技は成立しない。
- 差がつくポイント判断x2 + 1x2 = a2 − 2いきなり4乗を展開しようとせず、まず2乗を作る。2乗するたびに指数が2倍になるので、2乗を2回くり返せば4乗に届く。ゴールまでの道のりを段階に切り分ける判断。
- 計算x4 + 1x4 = a4 − 4a2 + 2(a2 − 2)2 − 2 を展開して (1) の答え。
▶▼ (2) のステップを見る(3ステップ)
(2) x⁶ + 1/x⁶ を a で表す
- 差がつくポイント判断6 = 3 × 2 → 先に3乗を作る(2) は、4乗をさらに2乗しても8乗にしかならないので、(1) の結果をそのまま使う道では届かない。6 = 3 × 2 と見て、あらためて3乗を作りにいくと判断する。(1) があるから (2) でも (1) を使うはずだ、という思い込みを、いったん外す場面。
- 公式x3 + 1x3 = a3 − 3a3乗の展開公式から x3 + 1/x3 = a3 − 3a を作る。(x + 1/x)3 を展開すると 3(x + 1/x) が余分に出るので、それを引く。
- 計算x6 + 1x6 = a6 − 6a4 + 9a2 − 2あとは2乗して 2 を引き、展開して整理する。
問8 積分の中に自分自身が入っている関数を求める
積分している変数は t なので、x は積分の外に出せる。
この2つの定積分はどちらもただの数なので
とおくと、f(x) = x2 + Ax + B … ① と、f の形が決まる。
この ① を、A と B の定義式に代入する。
整理すると 3A − 6B = 2 と −4A + 6B = 3。辺々足すと −A = 5 なので A = −5、これを戻して B = −17/6。
▶▼ ステップごとの考え方を見る(8ステップ)
- 差がつくポイント判断積分の中に x が入っている積分の中に x が入っていることに気づく。定積分はただの数だから、まるごと定数とおけばよい——という教科書の型が、そのままでは使えない形。まずここに気づかないと、全体を1つの定数とおいて矛盾する。
- 知識∫10(x + t)f(t)dt = x∫10f(t)dt + ∫10t·f(t)dt積分している変数が t であることを根拠に、x を積分の外へ出す。t で積分している間、x は動かない数として扱える。(x + t) を分配して2つの積分に分ける。
- 差がつくポイント判断A = ∫10f(t)dt, B = ∫10t·f(t)dt残った2つの定積分を、A と B の2つの定数でおく。教科書の標準問題は定数が1つで済みますが、この問題は (x + t) という形のせいで2つ必要になる。
- 変形f(x) = x2 + Ax + B … ①すると f(x) = x2 + Ax + B と、f が2次式だと確定する。A と B の値はまだ分かりませんが、形は決まりました。
- 差がつくポイント判断① を A, B の定義式に代入するいま求めた f を、A と B を定義した式に代入し直す。f を求めたいのに f が要る、というぐるぐる回りを、A と B についての連立方程式に書きかえて断ち切る。ここがこの問題の心臓部。
- 計算A = 13 + A2 + B, B = 14 + A3 + B22本の定積分を実際に計算する。
- 計算A = −5, B = −176連立方程式を解いて A = −5、B = −17/6。
- 判断∫10f(t)dt が −5 になるか確かめる求めた f(x) を使って ∫10f(t)dt が本当に −5 になるか計算して確かめる。分数の連立は符号ミスが出やすいので、代入して検算するのが確実。
問9 三角関数の不等式を解く
三角関数の合成をする。√(12 + (√3)2) = 2 なので
よって sin(θ + π/3) ≧ √2/2。u = θ + π/3 とおくと、0 ≦ θ < 2π より
sin u ≧ √2/2 となるのは
u の範囲との共通部分をとると
θ = u − π/3 に戻して
▶▼ ステップごとの考え方を見る(8ステップ)
- 判断sin θ + √3 cos θsin と cos の足し算という形を見て、合成すると判断する。バラバラの2つを、1つの sin にまとめるのが合成。
- 公式= 2 sin(θ + π/3)2sin(θ + π/3) に合成する。前の係数2は √(12 + (√3)2) から、中身の π/3 は「1 と √3 の比」から決まる。
- 計算sin(θ + π/3) ≧ √22両辺を2で割って sin(θ + π/3) ≧ √2/2 の形にする。
- 差がつくポイント判断u = θ + π/3 → π3 ≦ u < 7π3u = θ + π/3 と書きかえるとき、u が動く範囲も一緒に π/3 だけずらす。θ が 0 から 2π 手前まで動くなら、u は π/3 から 7π/3 手前まで動く。ここを 0 ≦ u < 2π のままにしてしまうと、答えが合わない。
- 判断π4 + 2nπ ≦ u ≦ 3π4 + 2nπ単位円をかいて、高さが √2/2 以上になる部分(水平線より上の弧)を読む。
- 差がつくポイント判断π3 ≦ u ≦ 3π4 または 9π4 ≦ u < 7π3u の範囲が 2π 分あるので、答えの範囲が2か所に分かれると気づく。スタートの π/3 は π/4 を通り過ぎているので手前側が切れ、そのぶん後ろ側に新しい範囲が現れる。
- 計算0 ≦ θ ≦ 5π12, 23π12 ≦ θ < 2πθ = u − π/3 に戻して、2つの範囲を書く。
- 判断θ = 5π/12 のとき左辺 = √2端の値(θ = 5π/12 = 75°)を元の式に入れて、ちょうど √2 になるか確かめる。
問10 四分位数と箱ひげ図
まず小さい順に並べかえる。
データは14個(偶数)なので、真ん中で7個ずつに分かれる。
- 最小値 1、最大値 10
- 中央値:7番目と8番目の平均 = (5 + 6) ÷ 2 = 5.5
- 第1四分位数:下位7個 {1, 2, 2, 3, 4, 4, 5} の真ん中(4番目)= 3
- 第3四分位数:上位7個 {6, 6, 7, 8, 9, 10, 10} の真ん中(4番目)= 8
この5つの値(1, 3, 5.5, 8, 10)を数直線上にかく。
▶▼ ステップごとの考え方を見る(6ステップ)
- 計算1, 2, 2, 3, 4, 4, 5 | 6, 6, 7, 8, 9, 10, 10まず小さい順に並べかえる。5つの値すべてがここから決まるので、並べかえを飛ばすのが最大の事故のもと。数え落としがないよう、個数(14個)も必ず確認する。
- 知識中央値 = (5 + 6) ÷ 2 = 5.5データが14個で偶数だと確認する。偶数のときの中央値は「真ん中の2つ(7番目と8番目)の平均」。
- 差がつくポイント判断下位7個と上位7個に分ける中央値をはさんで、下位7個と上位7個にちょうど半分ずつ分ける。データが偶数個のときは全部が左右に分かれ、奇数個のときは真ん中の1個をどちらにも入れない。この分け方を取り違えると、第1・第3四分位数の両方がずれる。
- 計算Q1 = 3, Q3 = 8それぞれの半分(7個)の真ん中、つまり4番目の値を読む。下は3、上は8。
- 判断五数要約 1, 3, 5.5, 8, 105つの値を数直線上にかく。ひげの左端が最小値、箱の左端が第1四分位数、箱の中の線が中央値、箱の右端が第3四分位数、ひげの右端が最大値。
- 判断5.5 は 5 と 6 のちょうど中間に引く目盛りと位置が合っているか見直す。中央値の5.5 は、5 と 6 のちょうど真ん中に線を引く。6 の位置に引くと、別のデータの箱ひげ図になってしまう。作図問題は、値が合っていても線の位置が雑だと減点される。
全体を通して
大問はすべて独立していて、記述量も多くありません。難問はなく、取りこぼしをどれだけ減らせるかの勝負になります。
「差がつくポイント」として挙げた22か所を種別ごとに数えてみると、その9割近くが2種類の判断に集中していました。計算そのものを問う場所ではありませんでした。
- 式の形を見て、どの公式・どの知識を使うかを決める場面が8か所。三角比の関係式から辺の比に持ち込む、条件と結論が入れ替わった確率だと見抜く、大きい数を素因数分解して関係を見つける、といったものです
- ゴールから逆算して、作業の順序を決める場面が10か所。求めたい値の手前に別の量を挟む、初項を先に押さえてから漸化式に進む、指数を分解して経路を選ぶ、といったものです
残りの4か所は、条件を図に起こす場面と、答えが出たあとに確かめる場面でした。
計算そのものは、どの問題も基本的なものばかりでした。手が止まった場所があるとしたら、計算力ではなく、この2種類のどちらかだった可能性があります。
本記事はうかるレシピ編集長 松原なおきが作成した非公式の解説です。大学が公表している解答例ではありません。最終的な答えは公表解答例と一致することを全10問で確認済みです。問4については、大学公表の方針が「増減表を書いて証明する」であるため、そちらを解答1、因数分解による証明を解答2としました。
参考:2026年度 兵庫医科大学 医学部 学校推薦型・総合型選抜「数学」および大学公表の解答例
