兵庫医科大学 医学部 推薦入試の数学(2026年度)|全10問の解説と差がつくポイント

2026年度 兵庫医科大学 医学部 学校推薦型・総合型選抜の数学、全10問の解説です。答えだけでなく、各問の下に「なぜその一手を思いつくのか」を1ステップずつ言葉にしたものを、折りたたみで付けています。まず自分で説明してみてから開いてください。

問題文は掲載していません。大学が公表している問題を手元に用意してご覧ください。各問の解答は、その問題を見ながら読む前提で書いています。

目次

問1 正弦定理と余弦定理で sin を求める

3sin A = 4sin B = 6sin C = kk > 0)とおくと

sin A = k3, sin B = k4, sin C = k6

正弦定理より、辺の比は正弦の比に等しいので

a : b : c = 13 : 14 : 16 = 4 : 3 : 2

よって a = 4t, b = 3t, c = 2t(t > 0)とおける。余弦定理より

cos B
= c2 + a2 − b22ca
= 4t2 + 16t2 − 9t216t2
= 1116

B は三角形の内角だから sin B > 0。したがって

sin2B = 1 − cos2B = 1 − 121256 = 135256

135 = 9 × 15、256 = 162 だから

sin B = 13516 = 31516
ステップごとの考え方を見る(7ステップ)
  1. 変形
    3sin A = 4sin B = 6sin C = k
    3つの式が等しいので、まとめて k とおく。「A = B = C」という形を見たら、共通の値に名前を付けるのが定石。
  2. 差がつくポイント判断
    a : b : c = sin A : sin B : sin C
    sin の関係式を、正弦定理を使って辺の比に書きかえる。正弦定理は「辺の比 = 正弦の比」を保証している。角の情報しか与えられていないように見えても、辺の話に書きかえられると気づけるかどうか。ここが決まれば、あとは完全に作業になる。
  3. 計算
    a : b : c = 13 : 14 : 16 = 4 : 3 : 2
    1/3 : 1/4 : 1/6 を整数の比に直す。分母の最小公倍数12を全部に掛けて 4 : 3 : 2。
  4. 変形
    a = 4t, b = 3t, c = 2t
    比が分かっただけでは長さは決まらないので、a = 4t, b = 3t, c = 2t と文字でおく。
  5. 差がつくポイント判断
    cos B = c2 + a2 − b22ca
    sin B を直接求める公式がないことに気づき、先に cos B を出せばよい、と逆算する。辺の長さから角を求める公式は余弦定理で、それが与えてくれるのは cos。ゴール(sin)から必要なもの(cos)をたどる一手。
  6. 計算
    cos B = 1116
    余弦定理に代入して cos B = 11/16。t が全部約分で消えるので、比だけ分かれば十分だったと確認できる。
  7. 判断
    sin2B = 135256 → sin B = 31516
    cos から sin に戻すとき、符号を決める根拠を書く。B は三角形の内角なので 0° < B < 180°、この範囲では sin は必ず正。だから正の平方根を選ぶ。

問2 検査で陽性だった人が、本当に病気である確率

「病気にかかっている」という事象を A、「検査結果が陽性である」という事象を E とすると

P(A) = 0.005
P(A) = 1 − 0.005 = 0.995
PA(E) = 0.99
PA(E) = 1 − 0.99 = 0.01

陽性と出るのは「病気で陽性」と「病気でないのに陽性」の2通りで、これらは排反だから

P(A ∩ E) = 0.005 × 0.99 = 0.00495
P(A ∩ E) = 0.995 × 0.01 = 0.00995
P(E) = 0.00495 + 0.00995 = 0.0149

求める確率は

PE(A)
= P(A ∩ E)P(E) = 0.004950.0149
= 99298 = 0.3322…
→ 約 33%
ステップごとの考え方を見る(7ステップ)
  1. 差がつくポイント判断
    PA(E) = 0.99, PA(E) = 0.01
    「検査の正確さ99%」という1つの文が、2つの条件を同時に決めていると読み取る。「病気の人が受けたら99%陽性」と「病気でない人が受けたら99%陰性」は別々の情報である。ここを1つと読むと、以降がすべて崩れる。
  2. 差がつくポイント判断
    求めるのは PE(A)(与えられたのは PA(E))
    聞かれているのは「陽性だった人のうち病気の人の割合」で、与えられているのは「病気の人のうち陽性になる割合」。条件と結論が入れ替わっていると気づく。ここがこの問題の正体。
  3. 知識
    PE(A) = P(A ∩ E)P(E)
    条件付き確率の定義を書く。「Eという条件のもとでAが起こる確率」は、PE(A) =(AとEが両方起こる確率)÷(Eが起こる確率)。あとは分子と分母を別々に作るだけ。
  4. 判断
    P(E) = P(A ∩ E) + P(A ∩ E)
    分母を作るために、陽性と出る人を2種類に分ける。病気で陽性(真陽性)と、病気でないのに陽性(偽陽性)。この2つで陽性の人を全部カバーでき、重なりもない。
  5. 計算
    P(A ∩ E) = 0.00495, P(A ∩ E) = 0.00995
    それぞれの人数の割合を掛け算で出す。真陽性は 0.005 × 0.99、偽陽性は 0.995 × 0.01。
  6. 計算
    PE(A) = 0.004950.0149 = 99298
    足して分母を作り、割り算して約分する。
  7. 判断
    ≒ 0.332 → 約 33%
    答えが直感とかけ離れているので、意味を確かめる。偽陽性の人が真陽性の約2倍いるのがその理由。

問3 対数を指数に持つ式を簡単にする

t = log20256 とおくと、対数の定義より 2025t = 6。

ここで 2025 = 34 × 52 = (32 × 5)2 = 452 だから

452t = 6 → 45t = 6

(45t は正なので、正の平方根をとる。)求める式は 45t の逆数だから

45−t = 16 = 66
ステップごとの考え方を見る(6ステップ)
  1. 計算
    45 = 32 × 5, 2025 = 34 × 52
    45 と 2025 をそれぞれ素因数分解する。大きい数が出てきたら、まず素因数分解。ここに思いつきは要りません、手を動かすだけ。2025 ÷ 5 = 405、405 ÷ 5 = 81 = 34 なので 2025 = 34 × 52。45 = 32 × 5。
  2. 差がつくポイント判断
    2025 = (32 × 5)2 = 452
    2つの結果を並べて、指数がちょうど2倍になっていると気づく。45 = 32×5 に対して 2025 = 34×52。つまり 2025 = 452
    いきなり「2025 = 452」を思いつく必要はない。素因数分解という作業の結果として関係が見えてくる、という順番が大事。
  3. 知識
    t = log20256 ⟺ 2025t = 6
    log20256 を t とおいて、指数の形に書き直す。
    ここは丸暗記ではない。log20256 という記号は2025を何乗したら6になるか、という指数そのものに付けた名前である。だから「t = log20256」と「2025t = 6」は、同じことを左右入れかえて書いただけ。新しい情報は何も増えていない。
  4. 変形
    452t = 6
    2025 を 452 に書きかえて 452t = 6。指数の 2t は「45 を 2t 乗」なので、45t を2乗したもの。
  5. 判断
    45t = 6
    求めたいのは 45−t。マイナス乗は逆数なので、45t さえ分かればいい、と逆算する。45t を2乗すると6だから、45t = √6。
  6. 計算
    45−t = 66
    逆数をとって有理化する。1/√6 の分母と分子に √6 を掛けて √6/6。

問4 3次不等式の証明

(左辺)−(右辺)を f(x) とおく。

f(x) = x3 − 7x2 + 8x + 16 (x ≧ 0)

この f(x) が 0 以上であることを示せばよい。

解答1(増減表で示す・大学公表の方針)

f ′(x) = 3x2 − 14x + 8 = (3x − 2)(x − 4)

f ′(x) = 0 となるのは x = 2/3, 4。x ≧ 0 での増減表は

x0234
f ′(x)800
f(x)16500270

最小値の候補は、左端の f(0) = 16 と、極小値の f(4) = 64 − 112 + 32 + 16 = 0 の2つ。小さい方は 0 なので、x ≧ 0 では f(x) ≧ 0。証明終わり(等号は x = 4 のとき)

解答2(因数分解で示す・こちらの方が短い)

f(−1) = −1 − 7 − 8 + 16 = 0 なので、f(x) は x + 1 で割り切れる。

f(x)
= (x + 1)(x2 − 8x + 16)
= (x + 1)(x − 4)2

x ≧ 0 のとき x + 1 > 0、また (x − 4)2 は2乗なので常に 0 以上。正の数と 0 以上の数の積だから f(x) ≧ 0。証明終わり

ステップごとの考え方を見る(2つの解き方・各7ステップ)

解答1(増減表)のステップ

  1. 変形
    f(x) = x3 − 7x2 + 8x + 16 (x ≧ 0)
    (左辺)−(右辺)を f(x) とおいて、「f(x) ≧ 0 を示す」問題に言いかえる。不等式の証明は、まず差を作って0と比べる形にするのが基本。
  2. 公式
    f ′(x) = (3x − 2)(x − 4)
    微分して f ′(x) = (3x − 2)(x − 4) と因数分解する。
  3. 差がつくポイント判断
    増減表は x = 0 から書く
    増減表を、x = 0 から書き始める。問題の条件が x ≧ 0 だから。全部の実数で書いてしまうと、f(x) が負になる部分(例:f(−2) = −36)まで表に入ってきて、x ≧ 0 での最小値の判定と混ざる。
  4. 差がつくポイント判断
    最小値の候補は f(0) と f(4)
    最小値の候補が2つあると認識する。1つは極小値の f(4)、もう1つは区間の左端 f(0)。区間に端がある場合、端の値も最小値の候補になる。極小値だけを見ても、それが区間全体の最小値だとは確定しない。
  5. 計算
    f(0) = 16, f(4) = 0
    f(4) を計算すると、ちょうど 0 になる。ここが問題の仕掛け。
  6. 変形
    f(x) ≧ 0
    最小値が 0 なので f(x) ≧ 0 と結論する。
  7. 判断
    等号成立は x = 4
    等号が成り立つのは x = 4 のとき、と書いて完成。証明問題は等号条件まで書いて満点。

解答2(因数分解)のステップ

  1. 変形
    f(x) = x3 − 7x2 + 8x + 16
    差を作って f(x) とおくところは同じ。
  2. 差がつくポイント判断
    微分ではなく因数分解を試す
    微分に走る前に、因数分解できないか探してみる。3次式を見たら増減表、と反射的に決めてしまわない。因数分解が通れば、答案の長さが半分以下になる。
  3. 公式
    f(−1) = 0 → x + 1 で割り切れる
    因数定理を使って、f(●) = 0 になる ● を探す。候補は定数項16の約数(±1, ±2, ±4, ±8, ±16)。順に代入すると f(−1) = 0 が見つかる。
  4. 計算
    f(x) = (x + 1)(x2 − 8x + 16)
    x + 1 で割って (x + 1)(x2 − 8x + 16)。
  5. 差がつくポイント判断
    f(x) = (x + 1)(x − 4)2
    残った x2 − 8x + 16 が (x − 4)2 という2乗の形だと見抜く。2乗になっていれば、中身が何であろうと0以上が確定する。ここで問題が終わる。これは解答1の「極小値がちょうど 0」と同じ事実の裏表。グラフが x 軸に接しているから、その点で値が 0 になり、式の上では2乗の形で現れる。
  6. 判断
    x + 1 > 0, (x − 4)2 ≧ 0
    x ≧ 0 の条件のもとで、各因数の符号を確認して結論を書く。なお x ≧ 0 が効く場所は2つの解き方で違う。解答1では「左端 f(0) を最小値の候補に入れる」ために使い、解答2では「x + 1 > 0 を保証する」ためだけに使う。
  7. 判断
    等号成立は x = 4
    等号条件 x = 4 を明記する。

問5 和 Sn を含む関係式から一般項を求める

与えられた式を ① とする。

初項を出す。① で n = 1 とすると S1 = a1 だから

5a1 = 3a1 + 3 + 1 → 2a1 = 4 → a1 = 2

漸化式を作る。① の n を n + 1 に書きかえた式を ② とし、② から ① を引く。Sn+1 − Sn = an+1 なので

5an+1 − 5an = 3an+1 + 3 → 2an+1 = 5an + 3
an+1 = 52 an + 32

等比数列に直す。α = 5/2α + 3/2 を解くと α = −1。したがって

an+1 + 1 = 52 (an + 1)

数列 {an + 1} は初項 a1 + 1 = 3、公比 5/2 の等比数列だから

an + 1 = 3(5/2)n−1
an = 3(5/2)n−1 − 1
ステップごとの考え方を見る(9ステップ)
  1. 差がつくポイント判断
    5an+1 = 3Sn+1 + 3(n + 1) + 1
    式の中に an と Sn混ざっているのを見て、どちらか片方に統一しないと進めない、と判断する。そのための手順が、n を n+1 にずらして辺々引くこと。Sn を含む式を見たらこれ、というトリガー。
  2. 差がつくポイント判断
    n = 1 を代入 → a1 = 2
    引き算をする前に、n = 1 を代入して初項を確定させておく。引き算で得られるのは「隣り合う項の関係」だけで、初項の値はそこからは絶対に出てこない。作業の順序そのものが問われている場面。
  3. 変形
    5an+1 − 5an = 3(Sn+1 − Sn) + 3
    n を n+1 に書きかえた式を作り、辺々引く。
  4. 知識
    Sn+1 − Sn = an+1
    Sn+1 − Sn = an+1 を使う。和の定義そのものです(n+1個の和から n個の和を引けば、残るのは n+1 番目の項)。
  5. 計算
    an+1 = 52an + 32
    整理して an+1 = (5/2)an + 3/2 という、隣り合う2項の関係式にする。
  6. 公式
    α = 52α + 32 → α = −1
    特性方程式 α = (5/2)α + 3/2 を解いて α = −1 を得る。これは、もし数列がずっと同じ値だったらその値は何か、を求めている式。
  7. 変形
    an+1 + 1 = 52(an + 1)
    両辺から α を引く形にして an+1 + 1 = (5/2)(an + 1) と書き直す。こうすると {an + 1} がただの等比数列になる。
  8. 計算
    an = 3(5/2)n−1 − 1
    初項3・公比5/2として一般項を書き、最後に 1 を引いて戻す。
  9. 判断
    n = 1, 2 を元の式に代入して検算
    n = 1, 2 を元の式に入れて検算する。引き算の操作は符号ミスが出やすいので、必ず確かめる。

問6 角の二等分線と中線が作る線分の比

AB CD EF G 32 AB : AC = 3 : 2 斜線2本は AE = EC

※ 実際の問題に図はありません。位置関係を示すためのオリジナルの図です。

まず角の二等分線の性質から BD : DC = AB : AC = 3 : 2。E は CA の中点なので CE : EA = 1 : 1。

(1) AD, BE, CG の3本は点 F で1点に会う。チェバの定理より

AGGB × BDDC × CEEA = 1

既知の比 3/2 と 1 を代入して

AGGB × 32 × 1 = 1 → AGGB = 23
AG : GB = 2 : 3

(2) 三角形ADC を、直線 BFE が切っていると見てメネラウスの定理を使う。

AFFD × DBBC × CEEA = 1

BD : DC = 3 : 2 より DB : BC = 3 : 5(BC は BD と DC を合わせた長さ)。よって

AFFD × 35 × 1 = 1 → AFFD = 53
AF : FD = 5 : 3
(1) のステップを見る(6ステップ)

(1) AG : GB を求める

  1. 差がつくポイント判断
    D → E → F → G の順に作図する
    この問題は、まず図が描けるかどうかで決まる。D, E, F, G の4点は、前の点が決まらないと次が置けないになっているので、問題文に書かれた順に1つずつ作っていくしかない。
    1. 三角形ABCを描く(AB の方が AC より長い、が唯一の条件)
    2. ∠A を二等分する線を引き、辺BCとの交点を D とする
    3. 辺CAの中点を E とする
    4. AD と BE を引き、その交点を F とする(← F は D と E が決まって初めて置ける)
    5. C と F を結んで延長し、辺ABとの交点を G とする(← G は F が決まって初めて置ける)
    この順序をたどれずに図が描けないと、チェバもメネラウスも知っていて手が出ません。
  2. 公式
    BD : DC = AB : AC = 3 : 2
    ∠A の二等分線という条件を、比の情報に書きかえる。角の二等分線の性質から BD : DC = AB : AC = 3 : 2。
  3. 変形
    CE : EA = 1 : 1
    CA の中点という条件も比に直す。CE : EA = 1 : 1。
  4. 差がつくポイント判断
    AD, BE, CG は点 F で1点に会う
    図を見て、AD, BE, CG の3本が1点で交わっていると気づき、チェバの定理を持ち出す。問題文に「チェバ」とは一言も書いてありません。図が正しく描けていれば3本の共点は目に入りますが、描けていなければ気づきようがない。ステップ1と直結している。
  5. 公式
    AGGB × BDDC × CEEA = 1
    チェバの式を、頂点を一周する順序で正しく書く。順序を間違えると比が逆さまになります。
  6. 計算
    AG : GB = 2 : 3
    既知の2つの比を代入して (1) の答えを出す。
(2) のステップを見る(4ステップ)

(2) AF : FD を求める

  1. 差がつくポイント判断
    (2) はメネラウスに切りかえる
    (2) では、求めるものが1本の線分AD上での比なので、チェバではなくメネラウスに切りかえる。チェバは3本が1点に集まるときの定理、メネラウスは1本の直線が三角形を切るときの定理。この使い分けができないと手が止まる。
  2. 差がつくポイント判断
    △ADC を直線 BFE で切る
    メネラウスはどの三角形をどの直線で切るかの選び方が全て。F を通ること、すでに分かっている比だけが出てくること——この2つから逆算すると、三角形ADC を直線BFEで切る、という組み合わせにたどり着く。
  3. 変形
    DB : BC = 3 : 5
    BD : DC = 3 : 2 から DB : BC = 3 : 5 を作る。分母が DC から BC(全体)に変わることに注意。
  4. 判断
    AF : FD = 5 : 3
    代入して (2) の答えを出したら、図と見比べて確かめる。AF : FD = 5 : 3 は AF の方が長いので、F は AD の中点より D 側にあるはず。図と合っていれば、比を逆さまに書いていないと確認できる。

問7 x と 1/x の対称式

まず2乗を作る。x と 1/x の積が1であることがポイント。

x2 + 1x2 = (x + 1/x)2 − 2 = a2 − 2

(1) 同じ操作をもう一度くり返す。

x4 + 1x4
= (x2 + 1/x2)2 − 2
= (a2 − 2)2 − 2
= a4 − 4a2 + 2

(2) 6 = 3 × 2 なので、先に3乗を作ってから2乗する。

x3 + 1x3 = (x + 1/x)3 − 3(x + 1/x) = a3 − 3a
x6 + 1x6
= (x3 + 1/x3)2 − 2
= (a3 − 3a)2 − 2
= a6 − 6a4 + 9a2 − 2
(1) のステップを見る(4ステップ)

(1) x⁴ + 1/x⁴ を a で表す

  1. 判断
    x + 1x = a
    x + 1/x = a という形を見て、x と 1/x についての対称式が与えられた、と読む。
  2. 差がつくポイント判断
    x × 1/x = 1 → 2乗の中央項が定数 2
    x と 1/x を掛けると 1 になることに気づく。だから (x + 1/x)2 = x2 + 2·x·(1/x) + 1/x2 の真ん中が、ちょうど定数 2 になる。この一点がすべての土台で、積が1でなければこの技は成立しない。
  3. 差がつくポイント判断
    x2 + 1x2 = a2 − 2
    いきなり4乗を展開しようとせず、まず2乗を作る。2乗するたびに指数が2倍になるので、2乗を2回くり返せば4乗に届く。ゴールまでの道のりを段階に切り分ける判断。
  4. 計算
    x4 + 1x4 = a4 − 4a2 + 2
    (a2 − 2)2 − 2 を展開して (1) の答え。
(2) のステップを見る(3ステップ)

(2) x⁶ + 1/x⁶ を a で表す

  1. 差がつくポイント判断
    6 = 3 × 2 → 先に3乗を作る
    (2) は、4乗をさらに2乗しても8乗にしかならないので、(1) の結果をそのまま使う道では届かない。6 = 3 × 2 と見て、あらためて3乗を作りにいくと判断する。(1) があるから (2) でも (1) を使うはずだ、という思い込みを、いったん外す場面。
  2. 公式
    x3 + 1x3 = a3 − 3a
    3乗の展開公式から x3 + 1/x3 = a3 − 3a を作る。(x + 1/x)3 を展開すると 3(x + 1/x) が余分に出るので、それを引く。
  3. 計算
    x6 + 1x6 = a6 − 6a4 + 9a2 − 2
    あとは2乗して 2 を引き、展開して整理する。

問8 積分の中に自分自身が入っている関数を求める

積分している変数は t なので、x は積分の外に出せる。

10(x + t)f(t)dt
= x10f(t)dt + 10t·f(t)dt

この2つの定積分はどちらもただの数なので

A = 10f(t)dt, B = 10t·f(t)dt

とおくと、f(x) = x2 + Ax + B … ① と、f の形が決まる。

この ① を、A と B の定義式に代入する。

A = 10(t2 + At + B)dt = 13 + A2 + B
B = 10(t3 + At2 + Bt)dt = 14 + A3 + B2

整理すると 3A − 6B = 2 と −4A + 6B = 3。辺々足すと −A = 5 なので A = −5、これを戻して B = −17/6。

f(x) = x2 − 5x − 176
ステップごとの考え方を見る(8ステップ)
  1. 差がつくポイント判断
    積分の中に x が入っている
    積分の中に x が入っていることに気づく。定積分はただの数だから、まるごと定数とおけばよい——という教科書の型が、そのままでは使えない形。まずここに気づかないと、全体を1つの定数とおいて矛盾する。
  2. 知識
    10(x + t)f(t)dt = x10f(t)dt + 10t·f(t)dt
    積分している変数が t であることを根拠に、x を積分の外へ出す。t で積分している間、x は動かない数として扱える。(x + t) を分配して2つの積分に分ける。
  3. 差がつくポイント判断
    A = 10f(t)dt, B = 10t·f(t)dt
    残った2つの定積分を、A と B の2つの定数でおく。教科書の標準問題は定数が1つで済みますが、この問題は (x + t) という形のせいで2つ必要になる。
  4. 変形
    f(x) = x2 + Ax + B … ①
    すると f(x) = x2 + Ax + B と、f が2次式だと確定する。A と B の値はまだ分かりませんが、形は決まりました。
  5. 差がつくポイント判断
    ① を A, B の定義式に代入する
    いま求めた f を、A と B を定義した式に代入し直す。f を求めたいのに f が要る、というぐるぐる回りを、A と B についての連立方程式に書きかえて断ち切る。ここがこの問題の心臓部。
  6. 計算
    A = 13 + A2 + B, B = 14 + A3 + B2
    2本の定積分を実際に計算する。
  7. 計算
    A = −5, B = −176
    連立方程式を解いて A = −5、B = −17/6。
  8. 判断
    10f(t)dt が −5 になるか確かめる
    求めた f(x) を使って 10f(t)dt が本当に −5 になるか計算して確かめる。分数の連立は符号ミスが出やすいので、代入して検算するのが確実。

問9 三角関数の不等式を解く

三角関数の合成をする。√(12 + (√3)2) = 2 なので

sin θ + 3 cos θ = 2 sin(θ + π/3)

よって sin(θ + π/3) ≧ √2/2。u = θ + π/3 とおくと、0 ≦ θ < 2π より

π3 ≦ u < 3

sin u ≧ √2/2 となるのは

π4 + 2nπ ≦ u ≦ 4 + 2nπ (n は整数)

u の範囲との共通部分をとると

π3 ≦ u ≦ 4 または 4 ≦ u < 3

θ = u − π/3 に戻して

0 ≦ θ ≦ 12, 23π12 ≦ θ < 2π
ステップごとの考え方を見る(8ステップ)
  1. 判断
    sin θ + 3 cos θ
    sin と cos の足し算という形を見て、合成すると判断する。バラバラの2つを、1つの sin にまとめるのが合成。
  2. 公式
    = 2 sin(θ + π/3)
    2sin(θ + π/3) に合成する。前の係数2は √(12 + (√3)2) から、中身の π/3 は「1 と √3 の比」から決まる。
  3. 計算
    sin(θ + π/3) ≧ 22
    両辺を2で割って sin(θ + π/3) ≧ √2/2 の形にする。
  4. 差がつくポイント判断
    u = θ + π/3 → π3 ≦ u < 3
    u = θ + π/3 と書きかえるとき、u が動く範囲も一緒に π/3 だけずらす。θ が 0 から 2π 手前まで動くなら、u は π/3 から 7π/3 手前まで動く。ここを 0 ≦ u < 2π のままにしてしまうと、答えが合わない。
  5. 判断
    π4 + 2nπ ≦ u ≦ 4 + 2nπ
    単位円をかいて、高さが √2/2 以上になる部分(水平線より上の弧)を読む。
  6. 差がつくポイント判断
    π3 ≦ u ≦ 4 または 4 ≦ u < 3
    u の範囲が 2π 分あるので、答えの範囲が2か所に分かれると気づく。スタートの π/3 は π/4 を通り過ぎているので手前側が切れ、そのぶん後ろ側に新しい範囲が現れる。
  7. 計算
    0 ≦ θ ≦ 12, 23π12 ≦ θ < 2π
    θ = u − π/3 に戻して、2つの範囲を書く。
  8. 判断
    θ = 5π/12 のとき左辺 = √2
    端の値(θ = 5π/12 = 75°)を元の式に入れて、ちょうど √2 になるか確かめる。

問10 四分位数と箱ひげ図

まず小さい順に並べかえる。

1, 2, 2, 3, 4, 4, 5 | 6, 6, 7, 8, 9, 10, 10

データは14個(偶数)なので、真ん中で7個ずつに分かれる。

  • 最小値 1、最大値 10
  • 中央値:7番目と8番目の平均 = (5 + 6) ÷ 2 = 5.5
  • 第1四分位数:下位7個 {1, 2, 2, 3, 4, 4, 5} の真ん中(4番目)= 3
  • 第3四分位数:上位7個 {6, 6, 7, 8, 9, 10, 10} の真ん中(4番目)= 8

この5つの値(1, 3, 5.5, 8, 10)を数直線上にかく。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10(点) 最小値 135.5 8最大値 10
ステップごとの考え方を見る(6ステップ)
  1. 計算
    1, 2, 2, 3, 4, 4, 5 | 6, 6, 7, 8, 9, 10, 10
    まず小さい順に並べかえる。5つの値すべてがここから決まるので、並べかえを飛ばすのが最大の事故のもと。数え落としがないよう、個数(14個)も必ず確認する。
  2. 知識
    中央値 = (5 + 6) ÷ 2 = 5.5
    データが14個で偶数だと確認する。偶数のときの中央値は「真ん中の2つ(7番目と8番目)の平均」。
  3. 差がつくポイント判断
    下位7個と上位7個に分ける
    中央値をはさんで、下位7個と上位7個にちょうど半分ずつ分ける。データが偶数個のときは全部が左右に分かれ、奇数個のときは真ん中の1個をどちらにも入れない。この分け方を取り違えると、第1・第3四分位数の両方がずれる。
  4. 計算
    Q1 = 3, Q3 = 8
    それぞれの半分(7個)の真ん中、つまり4番目の値を読む。下は3、上は8。
  5. 判断
    五数要約 1, 3, 5.5, 8, 10
    5つの値を数直線上にかく。ひげの左端が最小値、箱の左端が第1四分位数、箱の中の線が中央値、箱の右端が第3四分位数、ひげの右端が最大値。
  6. 判断
    5.5 は 5 と 6 のちょうど中間に引く
    目盛りと位置が合っているか見直す。中央値の5.5 は、5 と 6 のちょうど真ん中に線を引く。6 の位置に引くと、別のデータの箱ひげ図になってしまう。作図問題は、値が合っていても線の位置が雑だと減点される。

全体を通して

大問はすべて独立していて、記述量も多くありません。難問はなく、取りこぼしをどれだけ減らせるかの勝負になります。

「差がつくポイント」として挙げた22か所を種別ごとに数えてみると、その9割近くが2種類の判断に集中していました。計算そのものを問う場所ではありませんでした。

  • 式の形を見て、どの公式・どの知識を使うかを決める場面が8か所。三角比の関係式から辺の比に持ち込む、条件と結論が入れ替わった確率だと見抜く、大きい数を素因数分解して関係を見つける、といったものです
  • ゴールから逆算して、作業の順序を決める場面が10か所。求めたい値の手前に別の量を挟む、初項を先に押さえてから漸化式に進む、指数を分解して経路を選ぶ、といったものです

残りの4か所は、条件を図に起こす場面と、答えが出たあとに確かめる場面でした。

計算そのものは、どの問題も基本的なものばかりでした。手が止まった場所があるとしたら、計算力ではなく、この2種類のどちらかだった可能性があります。

本記事はうかるレシピ編集長 松原なおきが作成した非公式の解説です。大学が公表している解答例ではありません。最終的な答えは公表解答例と一致することを全10問で確認済みです。問4については、大学公表の方針が「増減表を書いて証明する」であるため、そちらを解答1、因数分解による証明を解答2としました。
参考:2026年度 兵庫医科大学 医学部 学校推薦型・総合型選抜「数学」および大学公表の解答例

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